第2章 大晦日の狐‐ハイキュー!!冬休み企画!‐
年明け直前。
スタート地点の装束稲荷に戻ってきた私は、周りの見知らぬ人達と声を揃えてカウントダウン。
そして、見知らぬ人達と一緒に年を越した。
それと同時に進み始める行列を眺める。
歩き始める参加者は皆が狐の面か化粧をしている。
その手に持っている提灯の明かりが、幻想的な光景を作り出していた。
本物の狐も居るかも知れない。
そんなバカみたいな考えが浮かんで、私のお狐様の事を思い出した。
すぐにスマホで連絡する。
発信の音は鳴っているのに出てくれない。
もしかして、まだ怒ってる?
不安になりながらも、足は勝手に行列を追い掛けていて、稲荷神社へ。
ここに着くまで、何回も電話したのに一回も出てくれなかった。
神楽殿では舞の奉納が行われていて、この辺りは騒がしい。
独りを自覚してしまうのが怖くて、願い石と洞穴の方に逃げ込んだ。
「仲直り出来ないじゃん!願掛けなんか、無意味!」
そして、石に無駄な八つ当たり。
「神様なんか嘘つきだ。見てなさいよ!どうせ電話にも出てくれないんだから!」
独り言で喚き続けて、社の前でまた電話を掛ける。
すると、どこかから着信音が聞こえてきた。
道の奥、狐の洞穴の方からだ。
私が電話を切ると、音が止まる。
私以外にも誰かここに居て、タイミングよく電話があったとか?
不思議に思って、もう一度掛けてみる。
また、着信音が聞こえてきた。
切ると、音が止まる。
それを何回も繰り返してから、やっと電話の相手、アキが居るのだと理解した。