第8章 頑張るご主人様
〜華美side〜
「あーーテストやだーーうわああーん」
子供のようにぐずる眞由美。
私は無視して勉強をする。
「…無視はつらいからね?せめて少し反応してよ……」
「こっちは勉強に忙しいの、黙って?」
少しニコッとした顔で言うと、眞由美は
「はい、すみません、黙ります」
と早口で言った。
「でもさ、あんた、今までテスト前、そんなに勉強してなかったじゃん?なんでいきなり?」
「今まではしてなかったのは認めるよ。でも今回は赤点とると、夏休みに補習があるから…」
「あー…ほんと好きだねぇ…」
「…ま、まぁ…ね…」
そうなのだ。今回は赤点なんて取ってられないのだ。貴重な夏休みを削るわけにはいかない。そして、夏休みは犬夜くんとの予定もあるし!
「せんぱいっ!…あ、勉強してましたか?すみません!」
って、当の本人が来た。
「ううん、大丈夫だよー、どうしたの?」
私の隣で、「対応が違う…かなしい…」と落ち込む眞由美は無視して、犬夜くんと話す。
「ちょうど移動教室で、先輩の教室近かったんで来ちゃいました!」
そう言って、犬夜くんは、にひひと笑った。
「そうなんだ」
「はい!先輩は休み時間も勉強してたんですよね?」
「うん」
「テスト前ですもんね…それでもすごいなぁ…オレも頑張らないと…!」
犬夜くんはガッツポーズをしながら言った。
「頑張ろうね」
「はい!あ、もう時間だ…」
「休み時間短いもんねぇ〜、ん、いってらっしゃ〜い」
「はい!ありがとうございます!いってきます!!」
犬夜くんは、私に手を振り、廊下を走って行った。
私は勉強を再開する。
「…いいなぁー、私も彼氏ほしいなあー」
と横で大きな声で言う眞由美。
私はまた無視して勉強を続けた。