第2章 答え合わせ
恐る恐るノックすると、部屋の主が出てくる。
「臣さんに太一?こんな時間にどうしたんすか」
何事もなかった様に対応する万里。服は着ているようだ。取り繕うのが早い!と太一は思う。
「あーいや、あのな……」
「?」
「ば、万チャン、あの、寮の壁って、結構薄いんスよ〜…………なんてー…」
「壁?」
歯切れの悪い二人の真意を汲み取る事が出来ないのか、万里はハテナを浮かべている。
意を決した臣が、万里に耳打ちした。
「声が、だいぶ、聞こえてたぞ」
それを聞くと万里はハッとした表情になり
「あー……すんません。今度からは声抑えてもらいますんで」
と申し訳なさそうに笑った。
(いや、他所でやれよ!)
二人は心でそう突っ込んだ。
と、その時。先程まで艶やかな声を出していた主が背伸びをしながらこちらへ向かって来たではないか!
「んんーっ!こんな時間にごめんねー!私部屋もどるわー!……あれ、臣さんと太一くん?どしたの?……二人ともなんでそんな驚いた顔してるのかな?」
「え、いや、」
「あ、あぁー……」
「やっぱ万里くんはすごいねー!二人も今度やってもらうといいよ!」
「へっ!?やって……!?」
太一が素っ頓狂な声を上げると、万里が「あぁ。」と何かに合点がいったような声を出した。そして、悪戯が成功した悪ガキのような笑みを浮かべて
「お二人とも何を勘違いされたのか分かんないっすけど、俺らがやってたのは、単なる肩もみっすよォ?」
「なっ……」
「肩……」
「うん、ほんと、本当に軽くなるの!めっちゃ凄いから!万里くんてば器用すぎ!超オススメです!!」
呆気にとられる太一と臣。
「…………。」
「……すまん。」
そのまま二人は自分の部屋へと帰った。
「何かあったのかな?あの二人?」
「……さあな?」
その日就寝するまで、万里のニヤニヤがおさまる事はなかった。
Fin