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【ヒロアカ】血まみれヒーローと黒の少年【原作沿い男主】

第2章 黒い転校生




 爽やかな五月晴れの空に、キーンコーンと高らかなチャイムの音が響く。小高い坂の上に建てられた立派な校舎が、窓に太陽の光を受けて眩しく輝いている。毎年優秀なヒーローを幾人も輩出する名門中の名門、雄英高校。そこに通う生徒たちの一日が今日も始まる。


「オラお前ら、さっさと席につけ」


 肩にバインダーを担ぎ、気だるげに1ーAの教室に現れたのは担任教師の相沢消太だ。彼に気づくと、1ーAの生徒たちはおしゃべりをやめて速やかに席に着いた。相澤の口癖は「時間は有限」。まだ入学して1ヶ月ほどしか経っていない生徒たちの無意識下にも、徐々にその教えが刷り込まれ始めている。


「えー、突然ではあるが、今日は転校生を紹介する」


「ええええマジで!?」
「おぉー!! ほんとに突然!!」
「何か学校っぽい行事キター!!」
「女!? 女か!?」


 つかの間の静けさも一転、相澤の開口一番の発表に教室が一気にざわつき始めた。あまりの唐突さに突っ込みをいれる者、いかにも学校らしいイベントに胸を躍らせる者、まだ見ぬ転校生に妄想を巡らせる者。ヒーロー志望の中でも指折りの実力を持ちここに座している彼らではあるが、そのあどけない反応はいかにも高校生らしい。


(て、転校生かぁ……1年生の5月に転校って珍しいな。それに、雄英の編入試験って一般試験よりも難しいって聞くけど……やっぱりすごい優秀な人なのかな……どんな個性の人なんだろう)


 そんな風に思いを馳せているのは1-Aの生徒の一人、緑谷出久だ。周りには一切秘密にしているが、ヒーロー界の頂点に立つ平和の象徴・オールマイトに認められ、彼の個性「ワン・フォー・オール」をその身に受け継いだ数奇な運命の中にある。憧れであり目標であるオールマイトに一歩でも近づくため、日々奮闘中の彼が転校生の性別や容姿よりも個性の方に思いを馳せてしまうのは、もはや性であるとも言える。


「入ってこい」

 相澤の呼びかけに教室のドアの向こうから「はい」という澄んだ声が応えた。がらりとドアが開き、真新しい雄英の制服に身を包んだ生徒が入ってくる。


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