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おかえり〜I'm home〜(R18)

第7章 summer memory②





「はぁっ、はぁっ、はぁっ・・・」


荒い呼吸を繰り返す私の前髪を、及川さんが梳いた。
とても、優しい手つきで・・・


「りお、俺、酷いやつなんだよ・・・」

「・・・え?」

毛布が、私の体を包む。
それを掛けてくれた及川さんはふらりと立ち上がった。

「だから、さ・・・。これ以上、俺に踏み込まない方がいい。次はもう、俺・・・こんな程度じゃ、済まなくなる」


薄暗い部屋の中で、及川さんの口端が上がった。

きっと、きっと・・・
哀しい目をして、笑ってるんだ。


「及川、さん・・・?」

「ごめんね、りお・・・。もう俺に、関わらないで・・・」


及川さんはそう言って私を残し、部屋をあとにした・・・
再び玄関の扉が閉まる音が聞こえる。

私は、追いかけることが出来なかった。

さっき、一瞬だけ見えた及川さんの顔を見たら、
何も・・・もう言えなかった。

いつもは余裕の笑みを浮かべている彼が、
へらへらと笑っている彼が見せた哀しい顔。

そんな顔をする理由が、私には分からなくて・・・


ここ最近、彼との距離が近づいていたと思っていた。

でも・・・っ!


「近づいてなんか、無かった・・・っ!!」

何1つ、私は彼の心に触れられていなくて、遠くて・・・
それが悲しくて涙が溢れ出る。


「ごめん、っなさい・・・!」

彼の包んでくれた毛布を握りしめ、私は声を殺して泣いたーーー・・・


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