第33章 Lovers memory②
《りおside》
翌朝・・・
ーーー・・・
はぁ〜すっきり!
昨日は眠る時間もたっぷり取れたし、寝覚めはばっちり。
毎晩及川さんに苛められてたから、及川さんに苛められない次の日の朝がこんなにすっきりしたものなのかって驚いた。
ちょっと拒絶するのは可哀想な気もしたけど、あのまま毎晩毎晩してると私、ほんとおかしくなっちゃう。過労でダウンしちゃうよ。
朝、及川さんが隣にいないのは少し寂しかったけど、喧嘩したわけじゃないし、今朝も会えるし、起きてきたらいつも通り接してあげよう。
そう思いながら朝食の準備に取り掛かった。
暫くすると、階段を降りてくる音がして、間もなくリビングの扉が開いた。
「・・・はよぉ、りお」
「おはよ、及川さん」
振り返れば、眠気眼にパジャマ姿の及川さんが欠伸をしながら入ってきた。
「先、顔洗ってきたら?」
「うんー、でもその前になんか飲む。口開けて寝てたみたいでカラカラだから」
むにゃむにゃと喋りながら、及川さんは冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出し、コップに注いで口をつけて飲んだ。
こくっこくっと、喉を通る水の音がしてそれがまた色気を含んでいる。
こんなお色気ムンムンな人に毎日抱かれてるんだもんなぁ・・・
と、そんな事を思っていると水を飲み終わった及川さんは私を向いてゆっくりと歩み寄ってきた。
き、きた・・・っ!
いつも及川さんはここで私を抱きしめてキスをする。
たまに深いのもするけど、今、コンロでスープも温めてるから何としても阻止したいって身構えながら考えていると・・・
コトン・・・
「・・・・・・へ・・・?」
及川さんは私の横を過ぎて、流し台へ持っていたコップを置いた。
そして私には一切触れずにそのままリビングを立ち去っていった。
「顔洗ってくんね」
その一言を残したっきり。
「あ、うん・・・」
てっきり今朝も、ラブラブタイムが始まると思ったのに・・・
どうやら彼はそんな気分ではないみたい。
人間だし・・・色々あるよね。
いつもの朝とは少し違っていて違和感を覚えたけど、そんなに気にしないことにした・・・