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おかえり〜I'm home〜(R18)

第17章 Autumn memory③





「え?俺と?」

きょとんと自分のことを指す及川さん。

「撮りたい撮りたい!」

「お兄さんイケメンだしー!」

「マジまんま王子!」

女の子はきゃっきゃと及川さんを囲む。

わかる・・・当たり前だよね。
本当、物語から飛び出して来た王子様みたいだから・・・

少し遠くでその様子を見ていると、及川さんからは意外な言葉が口から出た。

「ごめんねぇ、写真は撮れないや」


え・・・・・・

皆に優しい及川さんだから、絶対撮ってあげると思ったのに・・・
女の子はえ〜っとショックを隠せずに声を漏らす。


「あの子と来てるからね・・・」

そう言って、及川さんは私を見た。

わ、私!?

つられるように女の子たちが私のことを見る。
意外すぎる言葉に、私はおどおどと及川さんを見返す。


「そっか〜そうですよね!」

「残念、でも彼女さん一筋なんですね」

あ・・・

意外にも女の子たちはあっさりと引いて行く。

「お幸せに〜!!」

女の子たちは自由にそう言って去っていった。

「よ、良かったの・・・?」

おずおずと私は及川さんを見つめる。
及川さんは苦笑いを浮かべながら、私を見下ろした。

「俺があの子たちと撮ったら・・・、絶対嫌な思いするじゃん、お前」

「え・・・?」

私が嫉妬するって・・・思ってたの?
確かに、相手は年下の女の子だからそんなのしない、大丈夫って口では言えたかもしれないけど・・・

きっと心の中では何かもやもやしたものを感じたまま、この後過ごすことになってたかも、しれない・・・

それじゃ、私のこと思って・・・断ってくれたの?


「折角お前と来てんだから、嫌な思いさせたくないでしょ」

及川さんはばーか、と言いながら私の頬を摘んだ。

「ふっ、可愛くない顔」

そう言って笑う及川さんの背中にはお城。夕陽に照らされた顔は、綺麗で、まるで本当の王子様みたい。

意地悪、ナルシスト、我儘だったのに・・・
いつの間にこんなに優しくなったの・・・


そんな彼に私は魔法をかけられたように幸せだ。
幸せ、幸せな誕生日プレゼント。


私の胸元にも夕陽が伸びて、貰った薔薇のネックレスがきらりと輝いた・・・



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