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水と太陽と【梶裕貴】

第1章 プロローグ





毎週土曜日は、ラジオの収録だ。


お昼ご飯に、いつも近くのパン屋さんでメロンパンを買う。


別にメロンパン大好き!毎週食べたい!!なわけではないけれど、
このパン屋さんのメロンパンは、なんだか安心する味で。
毎週通って食べることが、密かな楽しみになっていた。



カラン…とドアを開けると、ふわっとパンのいい香りがする。


「いらっしゃいませ〜」


あれ、あの子いつもいるな…

たしか先週もあの子にお会計してもらった気がする。



そんなことを想いながら、まっすぐにメロンパンのあるところへ向かい、トングを伸ばす。



…今日も美味しそうだ。



レジへと向かうと、パンを並べていた女の子がこちらへ駆けてくる。



「いらっしゃいませ。ひまわりパンひとつで、180円です。」


てきぱきとパンを袋に入れてくれる。



「あの、」



俺は無意識に声をかけていた。


「ふぇいっ?!」


目を丸くしてこちらを見る彼女。


100点満点な驚きのリアクションを見て、笑いをこらえるのに必死だった。




「いや、すみません。ここのパン、すごく美味しいですね。」


誤魔化すように言った。

さらりと出たこの言葉に嘘はない。



「あ、ありがとうございます!」



ぱっと明るい顔になったが、すぐ顔を赤くして次の行動へ移った。



「に、200円お預かりしますっ」


変な声出たから照れてるのかな。


「20円のお返しです」


差し出されたお釣りを受けとるため、同様に手を差し出す。



「ありがとう。」



また来るね、という気持ちを込めてそう言った。



そしてお店を出てふと見上げると、綺麗な青空が広がっていた。

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