第4章 和平交渉
「すまんな砂粒。君には吉報を届けたかったのだが」
『そう、残念ね』
受話器越しから心から落胆した砂粒の声。本当に申し訳ないと反省する。彼女が私にかけてくれた労力を水の泡にしたのだ。私は憂城から姿を眩ます選択肢を選び現在、逃亡中である。
『その子と会う気はもうないの?』
「いや、」
だが決して彼と友達になることを諦めたわけではない。
「こればかりは私の未熟さだ。今暫くあの子の顔をまともに見れる自信がない。今私はあの子に激おこぷんぷんカム着火インフェルノォォォォオオウ!!状態なんだ。顔見た瞬間、また手をあげてしまいかねない」
『貴方がとんでもなく怒っているのは伝わったわ』
最初から噛み合わない関係だ。齟齬があって当然。だが私はあの件を許すことはないだろう。
「友情とは難しいな」
『でも諦めないんでしょう?』
「ああ。しかし、手をあげた件は謝らない。私は悪くない。あの子が悪い。私からの謝罪は無いと考えて友達作戦を続行するとしよう」
『滅茶苦茶だなー』
声だけでも顔を軽くひきつらせている彼女が想像できる。しかし、こればかりはしょうがない。私は何度殺されたって私でしかないのだから。
「新章突入だ。砂粒、また君の助言を頼む」
『ええ、今回は私も思慮が足らなかったから…じゃあまずは』
彼に歩み寄ると決めた覚悟を嘘にしないために、私の戦いはこれからだ。