• テキストサイズ

Why大奥!?Trafalgar医院【ONE PIECE 】

第8章 ロー



手術室の中で、ナツのバイタルを表示するモニターが規則的な音を刻んでいる。

微弱ながらまだ、彼女の心臓は動いている。
もう二度と、彼女を死なせはしない。


ローは気持ちを落ち着かせるように深く息を吐いた。

急遽集めた看護師は手術自体にもローのサポートにも不慣れなせいか、手際が悪い。

輸血用の血液を取りに行かせて数分立つが、看護師が戻ってくる気配はなかった。

そうこうしている間にも、彼女の胸元からは絶えず血液がにじみ出ている。


これは確実に……、心臓か動脈がやられてる。


ローは届かない輸血に舌を打ち、看護師が戻る前に手術を開始することにした。

補給もないが、流出を止めない事にはいつショック状態に陥って心臓が止まってもおかしくはない。


ナツの酸素マスクに気化した麻酔を流し、患部を消毒してメスを入れた。

傷口を辿るように開かれた胸。

発見した銃弾は心臓のすぐ下、
やはり大動脈を押し潰すようにめりこみ、その後ろの胸骨に挟まるように止まっていた。

心臓が動いているせいで、次から次へとそこを通った血液が溢れてくる。

これでは出血が収まらない筈だ。


ローは銃弾の除去や他の血管を繋ぐ作業を後回しにし、大動脈の修復に取りかかる。

人口心肺装置を起動するものの、圧倒的に人手が足りない。

輸血も未だに届かない。


ローは珍しく焦っていた。
何の準備もなく、人手もない状況で

死にかけている患者は最愛の人。





ピーーーーーー




その時鳴り響いた彼女のバイタル停止を告げるアラーム。


ローはその音を耳にした瞬間、目を見開きごくりと唾を飲んだ。

画面を確認すれば、脈を表すハートの記号の脇に無情にも表示される“0”という数字。
少し前まで波形を打っていた心電図も、ただの直線を描いていた。







また俺は、救えないのか?



今まで数多の手術を執刀してきた中で初めて、手が震えた。

胸の中が空っぽになるような虚しさと
目の前が真っ暗になったような感覚の中、

ローは震える手に力を込め、それを抑えようともがいた。


/ 347ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp