第7章 無神コウ『愛の意味』
その日の夜、庭でバラの手入れをしていた
すると....
「らん」
背後から声をかけられる
相手が誰か気づき、私は即座に跪いた
「この姿で会うのは久しぶりだな」
綺麗な瞳で見下ろされる
「はい。『カールハインツ』様....」
そこに居たのは逆巻の当主であり彼等の父、
ヴァンパイアの王カールハインツだった
「顔を上げなさい。君は私と同じ立場に居る権利がある存在だ。
お前の父親には世話になった」
顔を上げる
「ふむ....お前に1つ聞きたいことがあってな
」
「なんでしょうか?」
私は尋ねた
「お前は何を迷っている?」
「....それは、どうゆうことでしょう?」
カールハインツは薔薇を摘み取る
「自分でもよく分かっているだろう。
何故、コウに計画を実行させなかった?」
らんは苦い表情を浮かべる
「....それは....」
「ん?」
らんは何を言われるか分からないが
思い切って口を開く
「あの計画には....アダムとイブがお互いを思いやり、愛さなければならない
けれどコウの言葉を聞いたら....
それに....カールハインツ様貴方も知っているのでしょう?」
私は問い返す
「あぁ。もちろん気づいているよ」
「!なら、何故!?」
大きな声を出しハッとする
「申し訳ございません....」
カールハインツはふっと笑い
「構わない。お前は私の思う様な優しい子に育ったな。
先を考え、布石を打つ....
まさに、お前の父そっくりだ
それに....大切な物の場合は、とくに....ーー」
「?」
「いや....とにかくルキ達は絶対に必要な存在だ。彼等が居なくてはこの計画は成功しない。」
「カールハインツ様はイブが誰をアダムに選ぶか....その先をご存知なのですか?」
カールハインツは一瞬考え....
「あぁ。」
ーーーいや....まだそれは分からないか....
らん....貴様が居るからなーー
「...さて、そろそろ私は戻るよ。
カールハインツは後ろを向く」
「お前は最後の時まで、両親の意思を叶えるその時まで、自分の役割を果たせ」
薔薇の花が揺れる
腕で目を庇う
目を開けた時にはもう、カールハインツはいなかった
「はい....」
ーカールハインツ..恐ろしく、残酷な人....ー