第20章 道標
暗い森の中....
ーーードクンッ!!
「ッ!!」
急に心臓が締め付けられ、私はその場に座り込んだ
銀の血の副作用とは違う....
「カール....ハインツ様....ッ....」
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らんの居る森の近辺では小森セイジ率いる聖職者達が、ルキ達を追いつめていた
「....チッ....見つかったか....」
ルキ達がたどり着いたのは
白い花々が咲き誇る、死角のない場所だった
薄暗い闇夜が、月によって照らされる
周りには漆黒の服を纏ったヴァンパイアハンターが居た
「....くそっ!囲まれてる」
みんなはユイを隠すように奴等を警戒する
「 とにかく、絶対にコイツは傷つけさせねぇ!」
「ユイさんは....俺達が守る..」
「みんな....」
先日の父の姿を思い出し、ユイは震えが止まらない
すると、1人の男が近づいてくる
「ずいぶんと手間を掛けさせてくれたな」
フードを取ると、見慣れた顔が現れる
「お父さん...」
「穢らわしい!もはや、私はお前の父ではない!!」
セイジは怒鳴る
「はっ....自らがヴァンパイアにコイツを売っておいてよく言う」
「チッ....どんだけ年月が経っても、聖職者って生き物は、クソな奴しか出てこないんだな!」
「なんだと!」
ルキもコウもユイが侮辱され怒りを顕にする
「ふっ....そうやってすぐ牙を向く、ヴァンパイアとは本当に醜い」
セイジは腕を上げ、他の者に合図する
「殺せ」
「!!!」
襲いかかる敵にルキ達は魔力や武器で対処する
普通、人間なら彼らの敵では無いが、ヴァンパイアハンターの武器などは致命傷になりかねない
それに彼等が一番に考えなければいけないのはユイの安全だ
「アズサ!森の中へ走れ!」
「....分かった!」
アズサはユイの腕を引き、森の中へ急ぐ
しかし
「うらぁぁ!!」
向かいからは以前見た新生のヴァンパイアが襲いかかってきた
アズサはナイフで相手の動きを緩める
「アズサくん!」
ユイは片手で戦うアズサを心配し、立ち止まる....
「ユイさん....!逃げて!」
「え....?」
背後には銃を持ったセイジが居た
「さよならだ。ユイ」
ーーーーバンッ!!
1つの銃声が森に響く