第3章 無神家の少女
ユイは食事を済ませ
特にする事も無く
廊下を歩いていると....
ーゴホッ....ぐっ....
バスルームから苦しそうな声が聞こえた
ユイは少し開いたドアから覗いてみると....
そこには、洗面台の前に立つルキが
ルキ「ぐっ....」
ガタッ
ルキ「!」
足がドアに当たり、ルキが反応する
普通なら覗いた時点で彼なら気づいていた筈だが
ユイ「る、ルキくん大丈夫?」
ユイは鋭い目つきで見る彼に話しかける
ルキ「....何の用だ」
ユイ「バスルームから苦しそうな声が聞こえたから心配ーー」
ドンッ!
ユイは心配という単語を口にした瞬間思いっきり壁に体を打ち付けられた
ユイ「っ....ビクッ」
まるで人を殺すように睨むルキが怖くなり目を逸らす
だが、ルキはユイの顎をクイッと持ち上げ、目を向き合わさせる
ルキ「心配だと?ふざけたことを言うな。」
ユイ「え....ッ」
ルキ「そんなことを言って俺に媚びでも売るつもりか?俺はそんなことに騙されるほど馬鹿ではない」
ユイ「媚びなんて!私は本当にルキくんが心配で!」
ルキ「黙れ!」
ユイの肩を抑えつける力が強まる
ルキ「その減らず口を閉じろ。躾がなってない家畜には罰が必要だな」
ルキはユイの首筋に顔を埋め....
..ジュッ....
血を啜る....
ユイ「ッ....ビクッ....」
(力が入らなくなる....)
ルキ「....これがイブの血....」
そう言ってユイを離す
ユイはその場に倒れ込み首を押さえる
ユイ(そんなに吸われてないのに....首筋に痛みが残ってる....)
ルキはしゃがみユイの目を見る
ルキ「お前の血はやはり普通の人間の比ではないな....だからこそ、価値があるのか....」
ルキ「だが、一つ言っておく。お前は大切な存在だ俺達の計画には....」
ユイ(計画....)
ルキ「だが....あまり俺達の気分を害させるなら容赦はしない。二度と俺の前で心配などという言葉は使うな」
意識が遠のく....
だが、意識が無くなる直前ルキに持ち上げられるのが見えた....
彼はその時、物凄く悲しい顔を浮かべていた
彼の痛みは人間である自分には分からないのか....彼等は自分に近い存在だと思っていたのに
やはり、彼等も逆巻と同じヴァンパイアなのだ....