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不完全な『アダムとイブ』

第19章 終始


「ぐっ....やっと....終焉を迎えるのだな....ッ」

カールハインツは静かに呟く

そんな父を見て、シュウは歯を食いしばる

「親父....俺はあんたが大嫌いだった....
全てを見透かして、俺達を振り回す。

でも....感謝してないって言ったら嘘になる....」

「!」

「あんたのおかげで、俺はアイツと巡り会えた」

カールハインツは微笑む

「....ふっ....私もお前には感謝している....ヴァンパイアにとって、死は悲しみでは無く、喜びだ....
自分の息子の手で逝けるのだ....私には幸福すぎるな....ぐっ....」

苦しむ、カールハインツの心臓音はどんどん小さくなる


「....感謝するんなら、らんにするんだな....」

「....?」

「アイツは言ってた....

『カールハインツ様の永遠の幸せを望む』
って」


「!!」

カールハインツは驚き、静かに呼吸を整える

「やはり....最後まで....ッ....あの子は、私の予想をはるかに超えるのだな....」

カールハインツは静かに目を閉じる

ーーユーリ....貴様の娘の結末を観ることは許されないらしい....

だが、貴様の一族に私は2度救われた....

死とは....こんなにも心地よいのか....



「....あとは任せた....ッ....

"シュウ"...."らん"....


『ありがとう』

「おい、親父!」


その一瞬、眩い光が魔界を包み込んだ




永き王も遂に、その役目を果たし....永遠の眠りについたーーーーー



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