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不完全な『アダムとイブ』

第19章 終始


ーーーートンッ....トンッ

シュウは逆巻家の地下を歩いていた
地下にはいろいろな道があり、湖に続いてあったり、庭に出たりする

しかし、シュウの進む先には大きな扉があった
とても古く、少し不気味な扉の先は魔界へ繋がっている


足を止める

扉の前に見慣れた人物がいた

「レイジに....アヤトか...

何やってる...さっさと上に戻れ」

シュウがしようとしている事には2人も気づいていた

「....父上に会うつもりですか?」

だが見通されていることくらいシュウは分かっていた

「...あぁ」

「全く愚かな話だ。貴方があの方にかなうはずが無い。
それに..シュウ。また手遅れになっても良いのですか?あの時の様に...」

かつてシュウは友人であった、エドガーを失った

しかし

「ふっ....馬鹿か、お前。

....もう何も失わない為に....自分で守って行く為にも、俺は....


"ヴァンパイアの王を継ぐ"

これが、たとえ闇に繋がったとしても、俺は後悔しない」

「!」

「それに、今の俺には守るべきモノがたくさんあるからな」

レイジとアヤトはそこまで言い切った彼に驚いた

シュウは2人の間を通り抜け、扉の方に歩く

「まぁ、でももし俺が死んだら、逆巻の当主は....お前だ、レイジ」

思わずレイジはため息を付く

「はぁ....全く。思ってもいない事がよくもまあ、べらべらと」

負けるつもりは無い事くらい、実の弟であるレイジには簡単に理解出来た
そして、もう彼が当主を目指す事に不満は無かった

「おい。まてよ」

アヤトが口を開き、シュウは振り返る

「あぁ?」

「お前、怒らねぇのかよ」

「はぁ?なんのこと?」

「とぼけんな。俺がアイツの血....吸ったこと知ってんだろ」

彼なりに反省しているのだろう
罪悪感と共に、彼は解毒剤をくれたらんへ感謝の気持ちも芽生えていた

「あぁ。知ってる。

でも、お前を殺してもアイツは喜ばない。
その代わりらんが助けたその命で、お前にはこの家の為に生きてもらう」

「んだよそれ」

扉に手をかける

「お前らには期待してるぞ」



扉が閉じる


「....なんか、アイツ..親父に似てきたな」

アヤトが呟く

「当然でしょう。

魔界を統べる後継者なのですからーーー
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