第12章 無神アズサ『存在意義』
学校へ行く前、私はみんなの待つリビングへ向かった
すると....
「おい!アズサ!いい加減にしろよ!」
「そうだよ!アズサくん!素直にルキくんにお願いしたら....」
「うるさい!」
部屋からは大声や物が壊れる音が聞こえてくる
この喧嘩の内容は直ぐ理解できた
「みんな!やめてよ!」
思わず私も大声をあげてしまう
「 らん!」
リビングでは、コウとユーマとアズサが暴れていた
いつも綺麗なはずの部屋には物が散乱していた
2人はアズサに腕の事は諦めるように説得していたのだろう
「おい! らん!お前からも言ってやれ!」
「何を言われても....俺は....そんな事....しない....」
アズサはナイフを取り出す
「ちょ、ちょっとアズサ!?
それは絶対にダメだよ!」
コウも必死に止める
「アズサ!落ち着いて!」
「絶対....絶対嫌だ!....これを無くしたら....俺は....」
そうこうしているうちも
アズサの顔色は青ざめていた
銀の弾丸が体を腐敗させているのだ....
この状況での、彼の行動からも私達は彼にとってこの腕の傷がどんな存在か、よく伝わってきた
私達、兄妹でもこの傷の代わりにはなれない
だけど....
私はアズサの腕を掴む
「お願い....アズサ。
嫌だよ....アズサが居なくなるなんて....」
大切な兄妹が命を落とすかもしれないと考えたら自然と涙が出てきた
「 らん....」
「ッ.... らんまで....俺から....全てを奪うの....?」
アズサは腕を振り上げる
「おい!!馬鹿!!」
「ダメだよ!アズサくん!」
2人はアズサの腕を押さえようとするが
一歩届かない
らんは思わず目を瞑る