• テキストサイズ

魔王様率いる愉快な下僕達

第4章 ―コーヒー豆は突然に―


ということで今先生に無理矢理頼まれた資料を運んでいる。

「はあ~……ついてない」

ゴンッ

「「いたっ(いてっ)」」

廊下を歩いてると、誰かにぶつかった。
その反動で手に持っていた資料が無惨にも廊下に散らばった。

「いったー……すいません、前見てなくて」
「いや、俺の方こそすまん」

あ……これはっ!

「コーヒー豆だあああ!」
「はあ!?」

あの、テニス部の象徴とも言えるコーヒー豆が動いて喋ってる!これはスクープに出来るぞー!

「とりあえず、コーヒー豆さんのサイン下さい!」
「だからコーヒー豆ってなんだよ!?俺の名前はジャッカル桑原だ!」
「ルー大柴か!!」
「違ぇよ!」

なんだ違うのか。

「まぁ冗談はさておき、」

からかいに満足した私は、下に散らばった資料を集めていく。するとジャッカル桑原君もしゃがんで資料に手をつけた。

「はぁ……たくっ」
「えっ。手伝ってくれるの?」
「このまま立ち去ったら俺が薄情だと思われるだろ。しょうがねぇから手伝ってやるよ」

キュンッ

あれ、なんだろうこの気持ち。
インスタントコーヒー豆がコピ・ルアクに見えてきた……

「──よし、これで全部だな。どこに持ってくんだ?」
「資料室……」
「そうか。じゃあ半分持ってやるから行くぞ」
「あ、ありがとう」
「こういうのは慣れっこだから。いつもブン太に押し付けられるからな……」

あぁ、御愁傷様です……

それから暫くコピ・ルアクさんの愚痴を聞いて資料室へと着いた。

「ここで大丈夫か?」
「うん。ありがとう、ここまで運んでくれて」
「いや、別に大したことじゃねえって。じゃあな」
「ホントにありがとー!」


…………。

はっ!取材するのすっかり忘れてた!!



結論、ジャッカル桑原はただのコーヒー豆じゃなく、コピ・ルアクだった。


/ 43ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp