• テキストサイズ

「DC・Liar-S」歌うたいと恋心

第2章 HONEY & LOVER


その場に残されたアイツは、暫く茫然としていた。事情が分からず、どうすればいいか分からない様だ。


ただ1つ。あの男は、アイツを傷付けた様としている。何の為に?


「大丈夫か?」


「うん。あ、あの女の子……。」


近付けば、やはりアイツに似た容姿をしていた。しかし、どういう意図で行動を共にしていたのか。


「あの彼に、この子は告白したんだって。最初は断られたみたいなんだけど、言う通りにするなら特別扱いしてやるって言われたらしいの。」


「特別扱い?そもそも、言う通りって何だよ。……ラブホのことか。」


その女は力なく頷いた。最初は断ったらしいが、無理矢理連れ込まれてから、後はなすがままだった様だ。


「で、何でコイツを傷付け様としているのか分かるか?」


「足立くんは……小林くんをライバル視してるみたい。何一つ優位に立つことが叶わなかったって言ってた。」


つまり、小林ってヤツがコイツのことが好きだから手に入れたら、優位に立てると思ったのか。宛が外れた様だが。


「私は、どうして……あんなに嫌われていたんだろう?」


「小林くんが好きで……そして、貴女も小林くんと同じ人種だからだって。」


あの男は、クラスメイトだ。今後、更に目が離せないだろう。ったく、こんなことで傷付け様とするなんて。


「ますます目が離せないわね。私も気を付けるわ。同じクラスだしね。」


「それより、体は大丈夫?」


「避妊はしてたから多分……。でも、もう止める。見込みないって分かったから。だから……。」


「今日は私が送ってくるわ。二人は折角だから、ゆっくりして頂戴。」


女のことは宗に任せることにした。二人で歩き出したまま、お互いに無言だった。この先のことを考えれば、不安で仕方無いだろう。


宗にも、コイツの友人にも頼るのがベストだろう。そして、不本意だが……委員長にこのことを話した方がいい。


コイツがさっきの女の様に、好き勝手に弄ばれては困る。そんな目に合わせたくない。コイツが悲しむ顔をみたくない。


ああいう輩は、人前では何食わぬ顔をして近付いてくる。付け入られない様にしなくては。


俺はコイツを失いたくない。どんなことをしてでも守り抜く。繋いだ手に、キュッと力を込めた。





/ 96ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp