【ハイキュー!!】Assorted Box 短編集
第6章 彼女の自信〜帰り道で〜 (月島 蛍)
「私…こんな感じだし、いつも月島君に助けられてばっかりで…月島君の事イライラさせちゃってるよね?本当はもっと役に立ったり、喜ぶような事をしたいのに。出来ない自分が嫌で…もう月島君の彼女でいる自信がないよ。」
話しているうちに、目から涙が溢れてきた。
こんな時まで…月島君に迷惑掛けたくないのに。
「ごめん、和奏。」
全身が月島君の体温に包まれる。
抱きしめられているんだ…。
何だか、月島君の温かさに触れて、涙が奥から奥から湧き出て来るのを感じる。
「月島君…、あの…。」
「違うんだ。和奏にイライラしてた訳じゃない。和奏に下の名前で呼んで欲しいのに、どう言えばいいのか…わからなくて。そんな自分にイライラしてた。」
「名前…?」
「そうだよ。それに、和奏が役に立ってないって?そんなはずないでしょ。和奏が居てくれるだけで、僕…って、これ以上言わなくても、わかるでしょ?」
「え…?」
頭がパニックでついてきていない。
「はー。本当にわかんないの?僕は和奏が居てくれるだけで、嬉しい気持ちになるし、頑張れる…し。あんまりガラじゃない事言わせないでよ。」
月島君がどんな表情してるのか、どうしても見たくて、顔を上げる。
そこには見たこともないくらい真っ赤な顔の月島君が居た。
「私…迷惑じゃないの?」
「本当にバカだね。和奏が迷惑な訳ないだろ。…そんなバカな所も含めて好きになったんだから。ねぇ…。別れたいって言ったの撤回してよ。」
迷惑じゃないと言ってくれた…。
月島君の彼女のままで居てもいいと…。
そして、それが月島君の本心なのだと、普段の無表情さとかけ離れた彼の表情が雄弁に語っている。