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サイコパスカンタ

第4章 逆上


すっかり暗くなった頃、いろんなショップの紙袋をぶら下げて最寄の駅から帰宅するせつー。
「重たいなぁー、買いすぎたぁー」
後悔しながらも、その顔は昨日の出来事なんて忘れたようにスッキリしている。
「せつー!」
後ろからせつーを呼ぶ声。振り返ると
「カンタさん?」
唇を噛み締めて、明らかに怒りを宿した目をせつーに向けるカンタが立っていた。
「ねぇ、せつーはさぁ、俺の事どうでもいいの?」
突然の質問はせつーを戸惑わせた。
「LINE送ったのになんで返してくんないの?Twitterなんでアカウント削除したの?ずっと見てたのになんで気付いてくれないの?俺の事好きじゃないんでしょ。トミーがいいんだ。最初からトミーが目的だったんだ!」
矢継ぎ早に責め立てられて動揺するせつーをよそに、
「ねぇ、俺じゃダメなの?俺はせつーが好きなんだよ?わかってくれないの?何が嫌なの?」
ジリジリと寄って来るカンタに
「私もカンタさんが好きです。トミーさんよりカンタさんが好きです。嫌なとこなんてないです・・・」
せつーは後退りしながら答える。
「俺のこと好きなんだ?じゃあキスしてよ。今、ここで」
壁に追い詰められたせつーは恐怖に顔を強張らせながら目を背ける。
「ほら、やっぱり、嘘じゃん・・・」
泣きそうなカンタにそうじゃないと否定しようと口を開いた途端、
「・・・っ!」
声は出せなかった。
せつーの唇は壁とカンタの唇に挟まれ、両腕は捕まれ、逃げることもできない。
荒々しく口の中までを埋め尽くされ、頭が考えることをやめた瞬間
「もう、これで契約したから。せつーは俺から離れちゃダメだよ。大丈夫、傷付けたりしないよ。せつーが裏切らない限りはね。だから、約束して?トミーじゃなくて、俺を観るって」
その声はもうせつーの耳には届かない。
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