• テキストサイズ

まだまだ青い白鳥たち

第1章 これからもずっと


『それではー…カンパーーーーイ!!!』


なんとか私達の準備も間に合って、無事に新入生歓迎会が始まった。監督やコーチの激励は厳しい言葉も多かったけど、温かさが感じられるものだった。部長の掛け声で皆がジュースやお茶に口を付ける。


「…はー!部活のあとの炭酸はシビれるよネ!いつもスポドリだからさぁ」
「わかるわかる。スポドリも美味しいんだけどね」


男バレと女バレの合同歓迎会になったので、私は準備を手伝ってくれた牛島や天童くん、他一年生男子の近くにいた。…というよりも、女バレの先輩達にも私が牛島と付き合っていると思われているようで。追いやられたと言うべきか…。


「ねーねー、なつみちゃんてスタイルいいヨネ。オレ前から言おうと思ってたんだー」
「え、どうしたの、突然…」


…こんな時リカコだったら上手く返せると思うんだけど…。私は助けを求めるように牛島をチラっと見る。


「若利、今日のサーブいい感じだったなぁ。毎日コンディション維持できたらユースも狙えるんじゃないか」
「いや、今日は調子が良かっただけだ。維持できるように明日から練習メニューを変更してみたい」


…隣にいるしっかりしてそうな一年生部員とバレーの話で盛り上がっているみたい。まあ、牛島は中等部の頃から女子に対して特別気がきくタイプでもないんだけど。


「なつみちゃん、身長何センチなの?」
「…172だよ。大き過ぎるよね」
「そーお?俺から見たら小さいし、可愛いヨ」
「あ、ありがと」


身長のことは小さな頃からコンプレックスだった。だからそれを生かせるバレーと出会えたことが私の誇りだ。でも、女の子扱いしてもらえることも諦めきれていなかったみたい。正直すごく嬉しくて天童くんの言葉にドキドキしてしまう。


「…天童なに女の子口説いてんだよ」


少し目がキリっとした男前な子が間に入りに来てくれた。こんなにカッコイイ男の子バレー部にいたんだ。


「英太くん邪魔しないでヨー。せっかく若利くん今いないのに」
「…ってアンタ、若利の彼女じゃん!」
「いや…違いますけど…」


この流れ高等部に入って何度目だろう…。私はだんだんと遠い目になっていった。
/ 81ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp