第2章 制服の羽根(月島)
と、観察を続けた結果。
やはり天使は普通じゃない、という結論に辿り着いた。
多分同じ人間ではない。
あの女は異常だ。
それを指摘しない周りも、異常。
人たらしで済むレベルじゃない、彼女は何かおかしい。
「おはよう、月島君」
「、、おはよ」
疑われているとも知らずに、呑気に天使は毎日律儀に挨拶をしてくる。
そのたびに女子はともかく男子から殺されそうな視線が刺さるので、僕としては挨拶も止めて欲しいくらいだ。
「ねえ月島君、今日の課題やった~?ほら、数学のさ~」
なんてニコっと彼女は僕へと話し掛ける。
大抵の男ならそれで気絶しそうなレベルの笑顔だとは思うけど、残念ながら僕には効かない。
「ごめん、僕もやってない」
これは嘘だ、実は昨日の夜部活後にさっさと済ませてしまった。
応用問題が多く、時間がかかりそうだから早めに手を付けたものだった。
でも天使には嘘を吐く。
前に僕のプリントを写させてやったというだけでクラスの男子から痛烈に睨まれ、おまけにその内の一人に足を踏まれた。別の一人にはすれ違い様に肩で殴られた。
だから天使には二度とプリントを見せないし教えるなんてこともしない。
そもそも僕からじゃなくたって天使の場合誰にでもプリントを写させて貰えるし、なんならそのまま貰える。しかもそれが出来なくても先生にとがめられることもないのだから。
「へえ~、月島君が課題やってないなんて珍しくない~?」
「、、昨日部活で遅かったから。別に僕じゃなくても誰か他の人から貸して貰えばいいデショ」
だから頼むから僕に構ってくれるな、と既に痛い男子の視線から目を逸らし彼女へと言う。
「うんまあそうなんだけど~」
天使がいつもの笑ってない死んだ魚みたいな目になって、僕へと向き直る。
周りの人たちは気付かない、ゾッとする天使の、この目。
「えーでもそれって嘘だよね?だって月島君プリントやってきてるじゃん~?」
知ってるんだからね、と彼女が笑う。
いや、怖いよ。
なんで知ってるの超能力者か何かなのなんなの。