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Love Distorted 【気象系BL】

第3章 禁断の果実



【 Jun 】

世の中には、手を出してはいけないものが存在する。

絶対に触れてはいけないもの。
【禁断の果実】

これは、俺がその果実を、規則を破ってまで
欲し食そうとしたお話。

┈┈┈┈┈┈┈ ❁ ❁ ❁ ┈┈┈┈┈┈┈┈

『あなた、これはここで良い?』

「…ん? ああ、そこで良いよ」

俺は今引越し作業に追われていた。
結婚してもうすぐ2年になる。

俺は今回初めて、会社で転勤を言い渡された。

だから、夫婦揃って新居に荷物を運んでいる。
妻には迷惑をかけるな…。

「そろそろお昼にでもしようか…」

『そうね、あ…引越し蕎麦でも食べる?』

「やっぱりそれだよな、お願いしてもいい?」

『もちろんよ、あなたは休んでて?』

そう言って、小柄な彼女はキッチンへと
小走りで向かった。

俺はそんな彼女の提案にのり、ソファに
腰を下ろした。

この新しい地で、夫婦共々平和的に
過ごしていけるだろうか。

仕事だって上手くいくか分からない。
でも、やるしかないよな…家族がいるんだから。

リビングにある大きな窓から明るい日射しが
差し込んでいる。

きっと上手くいく。
その時はそう信じていた…。

『出来たよ〜、はやく食べましょ?』

「ありがとう、疲れてるのにごめんな」

『疲れてるのはあなたも一緒でしょ?
そんな事より、はやく食べましょうよ』

「ああ、頂きます」

『頂きます♪』

俺は彼女が茹でた蕎麦に、箸を差し込む。
一口目を口の中に放り込もうとした時、家のインターホンが鳴った。

「…突然なんだ?」

『あ、きっと私が頼んだ物だわ』

「頼んだ?」

『そう♪ 私、通販に今ハマってるのよ』

「そうか」

彼女は、席を立ち玄関へと行ってしまった。

通販か…そんなに面白いものなのか?
俺はそんな事を考えながら、蕎麦を啜った。


















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