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12色のアイ

第11章 完璧彼氏は難あり


「み、三月さん……私に………私にここなちゃんの事を伝授してください!!」
そんな私の悲痛な叫びがリビングに響いた。
もちろんここはアイナナメンバーが住んでいる寮だから、ほとんど全員集合という中での私の発言はみんなを酷く驚かせてしまった。
「おまえ……ナギとなんかあった………?」
「え!?どうして分かったんですか!?」
「いや、バレバレだから」
三月さんが呆れたように笑う。
「で、何があったんだよ」
「………ダメなんです、私じゃ………」
「六弥さんと喧嘩でもしたんですか」
一織さんが新聞に目を通しながらつまらなさそうに聞く。
「喧嘩か……まだ喧嘩の方がマシだったかもね」
「おい、まじで何があったんだよ」
私は溢れ出そうになる涙を堪えながら言った。
「私じゃナギさんの一番にはなれないんです……ここなちゃんがいるから………」
そこまで言うと、私は思いっきり息を吐いてから大きく息を吸って、叫ぶように言葉を発した。
「もちろん分かってますよ。ナギさんは腐ってもアイドルですからアイドルのナギさんにとっての一番はファンとメンバーの皆さんです。でも、でも、私だって腐ってもナギさんの恋人のはずなんですよ。だから、せめてプライベートのナギさんくらい私を一番にして欲しかったんです。でも、皆さんも分かっているでしょう?ナギさんが1日に一番口にしている言葉は『ここな〜!』だということくらい。私も鬼じゃありませんからアニメ鑑賞を止めろとは言いません。『マジカル☆ここな』を見てる時のナギさんの笑顔は最高に可愛らしいですし。でも!もう限界なんです!私はMEZZO"のマネージャーをしていますからここに来る事も少なくありません。ということはお互いにとって頻繁に恋人に会えるというメリットが生じるんです。ですから、少しぐらい私を構ってくれたっていいじゃないですか!ナギさんが私の方に駆け寄ってきたかと思えばここなちゃんの感想を聞かされ、私が差し入れを持って行った時もここなちゃんのグッズの鑑賞会を勝手に始め、私が電話をした時も………。もう無理!!限界!だから、考えたんです。私がここなちゃんの言動を完璧にマスターすればこっちを向いてくれるんじゃないかって。いつもナギさんの近くにいる皆さんとしてはどう思いますかね?」
私が一通り話し終えて周りを見ると、みんな唖然としていた。
どうしてでしょう?
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