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12色のアイ

第20章 目は口ほどに物を言う


「一織、好きです!!付き合ってください!!!!」
「手作りクッキーがありますよ」
「食べる!って、違う!!」
「お嫌いでしたか。じゃあ私が」
「嫌いじゃないです。むしろ大好きです。ということで付き合ってください」
「クッキーと付き合うつもりですか」
「なんでそうなるの!?」
くぅ〜〜〜、今日も付き合えなかった!
一織から貰ったクッキーを口の中に放り投げる。
ちくしょう、クッキー美味しいなぁ!!

小学校で出会った一織に一目惚れして早11年。
思いの丈をありとあらゆる方法で伝えてきた。
直接、ラブレター、電話、ラビチャはもちろん、お菓子だって作ったし、花束も渡した。
もう色々した。
でも、その度にはぐらかされる。
今日みたいに和泉兄特製のお菓子渡してきたり、可愛い猫の動画見せられたり、買い物があるからって手伝わされたり……。
まぁでも?私はポジティブ思考な女なので「無理」だの「ごめんなさい」だの言われない限り諦めません!
だって拒否されてないって事は可能性があるって事でしょ?
え、もう全然余裕。
というか一緒にいられるだけで十分幸せ。
一織だってなんだかんだ言って私といる時は嫌そうな顔してないし、likeかloveかは置いといて私に好意はあるって事でしょ?
私、頑張ります!

「いおりぃ〜〜、そろそろ諦めて私と付き合ってよぉ〜〜」
「諦めて付き合う、でいいんですか」
「いや、よくは無いけど〜〜」
「クッキー、美味しいですか」
「すごい美味しい!」
「それはよかったです」
「和泉兄と付き合う人は幸せだなぁ〜。こんな美味しいお菓子が毎日食べれる」
「…お菓子目的で寄ってくるような人は兄さんに相応しくありません」
「でたセコム。安心して、私は一織一筋だから!」
「一体何に安心すればいいんですか」
あ〜〜〜美味し〜〜。
幸せの味がする〜〜〜。
「ね、早く付き合お?妹に一織のことお義兄ちゃんって呼ぶように教えてるんだよ」
「変な事を教えるんじゃありません」
「親からも『一織くんならいい』って許可もらってるから。大丈夫」
「何も大丈夫じゃありませんよね。あなた、家族に色々話しすぎですよ」
「えへへ。名付けて『外堀から埋めよう大作戦』です!」
「はぁぁぁ…」
「おっ、今日一番のため息だね!」
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