第20章 いざ!出陣! 【20】
そうして平和な日々が数日過ぎた
私はいつもの様に天使達と庭で遊んでいた
天使達とボールで遊んでいると取り損ねたボールが、畑の奥の方にある草がぼーぼーにはえた草むらに入っていってしまった
『あちゃーあの草むらヤバそうだな…けど仕方ない。天使達と遊びたいから探してくるか』
薬研「大将、俺っちも一緒に行こうか?」
『おっ!さすが薬研君!行こう!他の皆はちょっと待っててね?すぐもどるからねー!』
天使達「はーい!」
そうして薬研君と草むらへ向かった
草は私の背丈ほどありボールを見つけられるか不安になった
『ねぇ薬研君。ボール見つけられるかな?』
薬研「大丈夫だ。落ちた所はだいたいわかってるからな。俺っちが先に行くから大将は後からついてきてくれ」
『うん!ありがと!』
それから二人で草むらへ突入した
薬研君はクモの巣を払いながら私が通りやすい様に道を作りながら進んでくれて、とても歩きやすかった
薬研「なあ、大将?」
『ん?なに?』
薬研「前に俺っちの事、薬研って呼ぶって言ったのにずっと君付けなのは何でだ?」
『あ~言ったね。薬研君って呼ぶのに慣れちゃったしなぁ。薬研って呼んで欲しい?』
薬研「それは大将に任せる。ただ気になってたから聞いてみただけだ」
『へぇ~厚だけズルいぞ!とか?まぁ光忠とか清光達もそうだもんね?やきもちだったら可愛かったのに~🎶』
すると薬研君は無言で振り返り妖しく微笑んだ
『なっなに?』
薬研「嫉妬して欲しいのか?大将の事、滅茶苦茶にするかも知れないぜ?」
薬研君は私に近寄ると腰をグイッと抱き寄せた
『やめろー!』
薬研「ここまで、草むらの中に入って来たら、あいつらからは見えないからな」
今度は顔を近付けてきた
『ひぃ~ごめんなさい!ごめんなさい!』
薬研君の腕のなかでじたばたと暴れると
薬研「大将!ボールは一旦諦めるぞ!俺っちに掴まってくれ!」
『えっ!?急になに!?ぅわあ!』
薬研君が私を抱き上げたと同時に私が最も嫌いとするブーンという羽音が聞こえてきた
『イヤー!蜂コワーイ!』
薬研君の首にしがみつくと
薬研「しかもスズメバチだ!」
薬研君は私を抱えて皆がいる方へ走り出した