第5章 Shake it !
【雅紀side】
中から聞こえてきた翔さんの笑い声に、俺とニノは顔を見合わせた。
二股掛けられた彼女二人の修羅場を、上手に切り抜けたような彼氏の、清々しい笑い…
いや、そうじゃなくて!
もう何が何だか分かんないけど、取りあえず、ここに居たんじゃ、盗み聞きしてたのがバレちゃう!
慌ててその場を去ろうとした俺とニノが、動き出すより僅か早く、会議室のドアが開いて櫻井課長が顔を出した。
「「あっ///」」
「あ…」
「「あ~!!」」
どれが誰の『あ』なのか、
もはや分からない(-_-;)
「お前たち、ここで何やってる…」
確かなのは、明らかに怒っているであろう、低くて魅力的で少しエロい課長の声。
↑エロい、はここではいりませんよ~(^^;
「あ、いえ、えっと~…」
しどろもどろのニノ…これはある意味レアだ。
「あの、その~…さ、散歩を~…」
アホか!?俺…
「はあ~?何言ってんだ…つ~か、お前たち、仕事は?」
「は、はい!」
俺は急いで帰ろうとしたのに、ニノは勇ましく反論した。
「だってさっきから3人でこそこそしてるから。気になって仕事なんか手につきませんよ!」
「それは…」
口ごもる翔さんに、俺は、なぜだか無性に腹が立った。文句を言おうとしたその時、
「翔さんを攻めんなよ…悪いのは、俺なんだから。」
ニノの肩を掴んでそう言った松潤は、事もあろうか、翔さんと顔を見合わせて、
『大丈夫だよ、俺が守るから』とばかりに微笑み合った。
↑実際はそうじゃないけど、こう見えてたらしい。
……なんだよ、それ(-""-;)
どいつもこいつも…///
怒りと悔しさと…色んな感情がごちゃ混ぜで、言葉が出ない。
すると、ニノが静かに言った。
「翔さん、俺達はみんなあなたのことが好きなんだ。その気持ちはくらべられるものじゃなくて。
本当は、翔さんが他のヤツと過ごしてるんだって、そう思っただけで、苦しくて嫉妬でおかしくなりそうなんだ…それだけは忘れないで」
……こいつ、たまにはいい事言うじゃん!
その時、廊下の向こうから何人かがやって来るのが見えた。
こんな場所で話す内容じゃないことに気付いた俺たちは、『フェアで行こう』ということで話をまとめ、それぞれのデスクに戻っていった。
ちっらと、翔さんを見ると、じっと一点を見つめて何やら考えていた。