第19章 手のひら合わせて。
「で、その話クロにちゃんと言えるの?」
「…言えない…かも。」
「なんで?」
なんで、って言われても…。ちゃんとした理由なんてない。
「でも、好きなんだよクロが。…こんなこと言われても好きなの。…好きだから言えないこともあるんだよ、なんでだろうね…」
「な、なんでだろうね」
この声…は、もしかして……。
そう思うだけで心臓がバクバクする。
驚きと緊張が混ざって大変なものになってる気が…って何言ってんだ
「ね、綾菜ちょっと二人で話そうか」
そういい、クロは私の手を引っ張り屋上に向かう。
…別れ話とか、されるの?
でも、せっかく呼ばれたんだから行かないわけにはいかない。
私は重い足取りで屋上までの道を進んだ。