第19章 手のひら合わせて。
何度か声をかけても返事が帰ってくることはなかった。
だけど、さっき木兎とは会話をしていたということは寝ているということはないだろう。
「あ…クロ…」
小さく呟くように聞こえた声。
「寝てた?」
「…起きてました…」
ダヨネ、知ってる。
…でも、なんで敬語?なんか俺に隠し事してない?…なんて思ってもそんなこと聞けるわけないし。
「そう、さっきメッセージ送ったけど既読つかなかったから。ごめんな、木兎まで使って。」
「ううん、大丈夫。」
「そっか。ま、声聞きたかっただけだから、オヤスミ」
本当はもっと話をしたかったけど、これ以上話しても意味が無いと思ったから通話を終わらせた。
「おやすみなさい」
通話を終了させるとスマホを乱暴にテーブルに置く。
なんだろう、ものすごく嫌な予感がする…。