第19章 手のひら合わせて。
着信があってから15分過ぎたぐらいたった今、私はうとうとしていると、バタッと音を立てて部屋のドアが開いた。
多分、光太郎だよね。
私は「なに?」と一言声をかけた。
「あ、起きてた。寝てるかと思った。
んじゃ、これだけ置いてくわー。」
そう言うと、スマホだけ私の手元に置いて、部屋を出てしまった。
私はなんだろうと思い、スマホの画面に目を向けるとLINEの通話画面だった。
「綾菜?」
この声は、クロ…?
なんとなくクロかな、とは思ってたけど、本当にクロだったか…。
「聞こえてる?」
うん、って声を出したいけど声が出ない…。
頭が混乱してて、今喋ってもきっと上手く会話できる自信ない。
「綾菜、ダイジョーブ?」
大丈夫だよ、って言わないと。
ちゃんと、返事しないと。
声、出てよ…!