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Pink*Flower Blossom〖R18〗

第7章 ♡月と雪と日陰の花と、日向の花


『.........僕、実はね、
時環家の本当の息子じゃないんだ。』


めるの耳もとで、花臣がぽつりと呟く。


「.........え?」


『僕は...その、とある理由で、
児童保護施設から、
時環家にもらわれてきたの。
だから、血が繋がってる...という意味では
皆と本当の家族じゃない。
...ちなみに、ひーちゃんと仲が良いのは、
ひーちゃんも僕と同じ児童保護施設で育ったからだよ』


「.........え!そう、だったんですか...」


『うん...。でも、皆......
特に兄2人は、僕を本当の家族みたいに
大切にしてくれてる。
その中でも...特に特に雪にぃは、
自分が1番辛い中、
ずっと僕のことを気遣って、
僕の心を育ててくれた。』


「.........」


『時環の皆さんには、
本当に本当に感謝してる。
その気持ちは嘘じゃない。
どれだけ感謝しても、しても、しきれないくらい。』


『...でも.........でもね、
それじゃ......だめなんだ...。』


少し声色が明るくなった...と思ったら、
またすぐにとても辛そうな声が聞こえてくる。



「.........?」


『僕は、お金なんかいらない。
地位も、名誉も、名声も賞賛も肩書きも。
そんなもの必要ない。』


「............」


『僕がいると、月にぃを苦しめる。
雪にぃをもっと苦しめる。
それに...僕は、僕を見てほしいんだ。
“時環”じゃなくて、“僕”を。
僕を見てもらうのに、今の僕だと、
僕より価値のあるものを抱え込みすぎてて...
誰も僕を見てくれない......。
誰も、“僕を”愛してくれないんだよ...。』


「.........」


『それじゃ......たった1つの僕の夢が...
たった1つの夢なのに......
絶対に、絶対に叶えられない......。』


「あったかい、しあわせな家族...ですか?」


『.........うん.........。
“僕を”愛してくれる家族......。
僕だけの、幸せな、優しい、
安心できる、本当の僕を愛してくれる
...そんな空間がほしいんだ...』
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