第1章 家での日常【七瀬遙】
空「…よし、終わったよ」
粗方拭き終えた彼の頭を軽くペシっと叩いてやると、彼が徐に顔を上げる。と思いきや…
空「んっ……」
後頭部に手を回されて彼の元へ引っ張られたかと思いきや、唇に柔らかい感触が…
それが彼の唇だと理解するのに数秒かかると、小さくリップ音を残して唇が離れた。
遙「…ありがとう」
当然の事のように平然としている彼の顔を見るなり私は仄かに頬に熱を集めながら
空「…どういたしまして」
とやっとのことで返す。
(全く、遙といるとペースが乱される…)
悶々と一人で頭を抱えながら、不思議そうに僅かに首を傾げている彼の胸に、思いきり飛び込んでやった。
《Fin》