第15章 花風
「ねぇ、和奏…約束して。これからは何でも僕に話して。嫌な事も…、不安な事も…。僕は木兎さんみたいに人の気持ちを読むのが苦手だから…言ってくれないと和奏の不安に気付けない。」
胸に顔を埋めている和奏がしっかりと頷くのを感じた。
「私も…全部話して欲しい。私のために…女の子たちの告白の対応に追われてたって…山口君に聞くまで全く気付かなかった。これからは…何でも相談して欲しい。」
山口のやつ…。
今回だけは感謝してやるとするか。
「わかったよ。ねぇ…和奏、僕の隣に戻ってきてくれる?戻って来たら、もう一生離さないと思うけど。」
「蛍が…嫌じゃなければ…。私は蛍の一番近くに居たい。」
和奏の返事に思わず唇を重ねる。
柔らかい感触に、本当に和奏が戻って来たのだと、また涙が出そうになるのを堪える。
「和奏、お仕置きは今度にしよう。今日は呆れるほど優しく愛してあげる。」
一度失ったからこそ、わかる。
和奏との関係は壊れないよう頑丈なものじゃない。
大切にしないとすぐに壊れてしまう…だからこそ、和奏がこれほどまでに愛おしいんだ。
もう、絶対に離さないよ。
end.