第5章 おでかけ(ハル)
「…大丈夫か?」
「…は、はいっ」
あわてて体制をたてなおし、
ふと顔をあげると、端正に整ったハルの顔が間近に現れる。
「………っ!」
シーナは思わず目をそらすが、ハルはというと何も気にすることはなく
そのままシーナの腕をとると、
「ここは落ち葉で危険だな。エスコートしよう」
「えっ!?」
「ほら、こっちだ」
シーナに自分の腕を掴ませて、並木道の落ち葉の少ないところを選びながら連れ歩く。
(ハルさんにとっては、当たり前なんだろうけど…、こんなに密着するとドキドキしちゃうよ…)
ふと見上げるとハルがこちらを見返して、
「イチョウのおかげでエスコートする口実ができた」
「…えっ」
「たまには君のような可憐なレディと歩くのも楽しいものだな」
笑みを見せるとまた前に向き直り、シーナの足元を気遣いながら連れ歩く。
まだ出口は先。
互いにこの時を楽しんだ。
-end-