第5章 おでかけ(ハル)
まっ黄色なイチョウの並木道。
シーナはハルと2人で歩いていた。
「わぁ…!黄色がすごく綺麗ですね!」
「ここはリングランドで有名な紅葉の名所だからな」
はらはらと時折イチョウの葉が落ち、
足下はまるで黄色い絨毯が敷かれたようだ。
2人は店の買い出しに出掛ける途中だった。
「ここを抜ければ卵屋がある。」
「わかりました」
シーナは小さなメモ用紙をもう1度確認して、ハルに返事をする。
「お互い買い出しが終わったらここに集合でいいか?」
「はい、ではまたあとで。」
いってきます、と並木道の向こう側へ体を向けた瞬間、
「きゃあっ!!!」
「シーナ!」
シーナは落ち葉を踏んで滑り、ハルの腕に抱きとめられた。
ふだんのスマートなハルの所作からは気づかなかったが、その腕は逞しく、しっかりとシーナを抱く。