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【年上の男】 R18 ※加筆&修正中

第10章 まばたき●






リビングのドアを開けると、エプロンを着けた佐久間さんがキッチンから顔を出した。



「あれ?早かったね。」



夕食の支度をしていたのだろうか。

部屋の中には甘いトマトソースの匂いが漂っている。



「電話してくれれば迎えに行ったのに。」



そう笑う佐久間さんの顔を見ていると胸が痛くなった。

卑屈な私の心さえも包み込んでくれるような優しい笑顔。



突然強い衝動にかられ、私は佐久間さんへと抱きついた。



どうしてだろうか。

佐久間さんにきつくきつく抱き締めて欲しかった。



大きな腕に包まれながら、温かい佐久間さんの胸へと顔を埋める。

甘くスパイシーな香り。

そっと顔を上げると、佐久間さんは不思議そうに首をかしげていた。



「どうしたの?」



そう聞かれても…私にだって分からない。

ただ、今はどうしようもないくらい佐久間さんを求めている。

こんなにも大胆になれたのは初めてだ。

いつも受け身であった私の恋。

そんな私の恋は今、自分でもどうしようもないほどの欲情へと変わっていた。






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