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【年上の男】 R18 ※加筆&修正中

第10章 まばたき●






新婦のドレスの色を思い出せない。



電車とタクシーを乗り継ぎ、自宅であるマンションへと帰って来た。

時刻は午後6時。

二次会は式場近くのカフェバーで行われるらしい。

もちろん、私は誘われていない。



あれから、私はすっかりと空気のような存在になってしまった。

…誰も私の事など見えていないかのよう。

キャンドルサービスの際、私達が座るテーブルへとやって来た新婦に「おめでとう。」と声をかけるも、目が合う事はなかった。



エレベーターに乗り、深いため息をつく。



こんな経験は初めて…

ではなかった。



学生時代の私はいつもこうだった。

“大人しく地味な人”

それが私の立ち位置だ。



誰に話し掛けられる事もなく空気のように席に着き、ただ本を眺めるだけ。

大学時代は亮太のおかげで男女のグループで開かれる飲み会に数回顔を出した事もあったが、そこでも私は空気のような存在になっていた。



それが私にとっての“当たり前”であり“日常”だった。






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