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【ハイキュー!!】月と影の奏で R18

第13章 弄月


何て…事だろう。
蛍が、私を…好き?

何度考えても、今起こっていた事が理解出来ない。

10年以上片想いだと、蛍はそう言った。
それが事実なら、もはや片想いではなく、両想いだ。
私だって10年以上片想いしているんだから。

例えば…毎年懲りずに渡していたバレンタインチョコ。
「いい加減…僕以外にあげる人とかいないの?」
なんて、面倒そうに受け取っていた蛍。

あの時も…私の事が好きだったとすると…。
「他に誰かにあげるの?なんて…、素直に聞けるわけないでしょ。」

自分で妄想したくせに、真っ赤になる。
あくまでも妄想だ。
でも…素直じゃない蛍なら、十分にありえる。

他にもあるのだろう。
蛍の事なら、なんでもわかってるなんて思い上がって、
見落として来た大切な事が。

「はぁ。本当…いい加減にしてよね。」
忘れもしない。
雷のあの日、蛍はそう言ったんだ。

あの時は雷なんかが怖くて、引き止められた面倒くささから出た言葉だと信じて疑わなかった。

でも…。
例えば、蛍が我慢してくれていたとしたら?

好きな人と2人きりでいる時、男の人は我慢するのが大変な事らしい。
飛雄と関係を持ってから、わかった事だ。

あの時の私はベッドを使って寝てくれと蛍に勧めていた。
それが、蛍には挑発したように感じられたとしたら…。

ずっと蛍は怒っているから、私を抱いているのだと思っていた。
でも…好きだから抱いていたのだとしたら…。

そう思うと止めどなく湧き上がってくる記憶たち。
蛍は…蛍の態度はずっと伝えてくれていた。
好きだと。
こっちを見て欲しいと。
嫉妬しているのだと。

なんで…。
なんで、今まで気付かなかったんだろう。
なんで、目をそらし続けて来たんだろう。

ガラッと入り口が大きな音を立てて開く。
蛍が戻って来たんじゃ…と目を向ける。

あっ…どうしよう。。。

「和奏!良かった。居なくなったかと思った…。
なんで、電話出ねぇんだよ!本当…良かった。」

床にしゃがみ込む私を、飛雄が抱き締める。
乱れた呼吸が、少し汗ばんだ体が、
どれだけ心配したかを伝えている。

あぁ…どうしよう。
私は飛雄を裏切る事は出来ない。。。
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