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Vergiss nicht zu lacheln―進撃の巨人

第19章 贈り物




「ファティマ先生、今日はありがとうございました!」


部屋から出たエミリは、最後にもう一度ファティマへペコリと頭を下げる。

ファティマはそんな愛弟子の頭に手を置いて、優しい口調で返した。


「これから貴女と過ごす時間をとても楽しみにしているわ」

「はい!」


満面の笑みで返事をするエミリから感じ取られるのは、やはり彼女が持つ清らかな心。
それは、エミリが純粋な人間であることを物語っている。

しかし、ファティマにはそれが逆に一番の不安要素であった。

いつか……それが汚れてしまうかもしれない、と危惧しているからだ。


「ファティマ先生、こんにちは」


そうしてエミリを見つめて物思いに耽っていると、すぐ側から別の男性の声が耳に入る。


「あっ……ああ!? あなたは……もしかしてっ!!」


その男性を目にした途端、エミリは、瞳をキラキラと輝かせ彼に見入っていた。


「あの……オドさん、ですよね?」

「うん、そうだけど……」

「やっぱり!!」


オドと呼ばれる男性を、憧れの眼差しでまじまじと見つめるエミリ。
オドは、少し戸惑いながらも微笑を整った顔に乗せていた。


「おい。誰だ、こいつ……」


想い人が一人の男性に注目している光景は、リヴァイにとっては我慢ならない。
相手を威嚇するかのように低音の声を響かせ、オドを睨みつけていた。


「彼は、私の教え子ですよ」


眉間に皺を寄せるリヴァイに、ファティマが隣から説明を入れる。

医療に携わっている者であることは、説明されずともリヴァイにも理解できた。
オドは、ファティマと同じように白衣を羽織っているからだ。

ファティマの弟子であり、エミリが向けている眼差しは憧れや尊敬であることから、彼がかなりの腕を持つ薬剤師であるということが伺えた。


「あのですね、オドさんは、医療界の担い手として、若くしてたくさんの活躍を見せているんです!
それだけじゃないんです! 薬剤師と医師、両方の資格も持っているんですよ!?」


自分が抱く憧れの要素をつらつらと述べていくエミリは、興奮冷めやらぬといった様子だった。

そんな彼女の様子に、リヴァイの表情がどんどん険しくなっていく。
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