• テキストサイズ

Vergiss nicht zu lacheln―進撃の巨人

第19章 贈り物




「あなた……どうせ初対面で詳しいことなんてわからないのだから、そろそろ観察するのやめて上げなさい」


瞳を潤ませてプルプルと震えているエミリがとても気の毒だ。

昔から何かと初対面で興味の湧いた相手に対して、人間観察をする癖がある夫にファティマは長年頭を抱えていた。

人間観察は自分の美的観念に関わるなどと、よくわからない話をさせれ続けていた。
今はもう慣れたものだが、何も知らない人からすれば良い迷惑である。


「エミリ、ごめんなさいね……この人、いつもこうなのよ」

「いえ、気にしないでください!!」

「とにかく、話を進めましょう……」


元々、薬草園の費用や建設場所、園内の構造について話し合うために集まっと言うのにザックレーの余計な趣味のせいで、本題に入るのが遅くなってしまった。

ファティマは、一つ咳払いをして向かい側に座っているエミリ、エルヴィン、リヴァイに資料を配り、説明を始めた。


建設場所は、調査兵団訓練所に一箇所、広さも日当たりも丁度良い空きスペースがあるため、そこへ建てることとなった。

費用は全てファティマの方で片付けてくれることとなり、構造もできるだけエミリの要望に応えるとのことだった。


「────薬草園の薬草たちは、壁外調査から持ち帰った薬草を中心に植えたいんです。ウォール・マリアには、ローゼにはない薬草もあるので……」

「なるほどね。それは、とても良い考えだと思うわ。なら、後でマリアで見た薬草を教えてくれるかしら? それに合わせて、なるべく沢山の種類の薬を作られるような薬草を、こちらで調整しておくわ」

「ありがとうございます!」

「ファティマさん、エミリの部屋について私からも一つ伺いたいことが……────」


打ち合わせの内容は薬草園のことだけでなく、エミリ専用の仕事部屋についても相談し合った。

少しでもエミリが過ごしやすい環境を整えるため、そして、調査兵団に負担がかからないようにと、とにかく案を出し合った。

そうこうしている内に、気づけばもう日が傾き始めていた。
/ 727ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp