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Diable Patron

第9章 何事も全力で


「裕!」



ここは会社近くの定食屋。



中年のお小遣い制で毎日のやりくりに困っているおじ様方がこぞって利用する店。



私たちの年齢の人間が利用するような店ではないが、こういうところがなんやかんや好きで満場一致で店を決めた。



「どうだ、部長一日目。」



ご飯を食べつつも私にそう聞く。



「まぁまぁかな。裕が纏めて置いてくれたから引き継いだ物は順調に進みそうだよ。裕?新しい仕事どう?」



私はそう答えて味噌汁をすすった。



「ならよかった。俺はそうだな、まだわからない。俺の場合は部内に仕事を振り分けと確認するのがメインだからな。仕事っていう仕事もまだしていない。」



何て言いながらもどこか嬉しそうだった。



今日は朝少しだけ会ってから会っていなくて。



毎日同じ空間で仕事をしていた私たちからすると少し不思議な感じがしていた。



これからこんな毎日が始まる。



少しさみしい気がもするが、これからは毎日お昼が一緒かもしれないと思うと少し嬉しい気がもした。



なんやかんや楽しく二人でご飯を食べていると隣の席に座っていた中年の男性が私たちに話しかける。



「お姉ちゃんたち、仲いいね。付き合ってるの?」



「はい!」



私はその質問に元気よく返事をした。



「ははっ、楽しそうだ。そうだ、君たちにこれあげるよ。この年になって嫁と行くこともないしね。」



そう言って男の人は私たちにとある水族館のペアチケットを手渡した。



「え?いいんですか?」



「いいよ、いいよ。こうゆうのは若い子が使った方がいいからね。それじゃあ、僕はここで。」



私の問い掛けに笑顔を返してその人は行ってしまう。




私がそのチケットを見つめていると裕は私に


「付き合ってからデートとか行ってなかったよな。それ、行ってみないか?」


と声をかけてくれた。
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