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Diable Patron

第6章 これは同棲なのか間借りなのか。


窓からは明るい日差しがさし、部屋の外からはほんのりとご飯のいい香りがする。



コンコン
「朝だ。おはよう。」



扉の外からそう聞こえる。



私は「もう、少しだけ…」と言って二度寝をすると扉を叩く音が次第に大きくなっていく。





起こしてくれる人がいることは嬉しいな。



そうここ数日は思う。




起きればリビングに朝食が揃えてあって。




「おはよう、日向…じゃなくて由架。」



と少し照れている裕が見られる。



いつも職務上の会話しかなかった上司と今では付き合っているのだから不思議だ。




でも年下なんだよね、この人。




そう思いながらぼーっと彼を見つめる。




「?…どうかしたか?」



彼は私を見てそう言うので



「いえ、何でもないです。」



と言う。



別にこれと言って何か進展がある訳じゃない。




けれど生活していて幸せなことは確かだ。




朝ごはん食べて、出掛ける用意をして。



今日も部長の家兼私の家を出る。




車に乗って助手席に座って、しばらく車で揺られて。



その間は部長といろんな会話をする。




学生時代どんなだったかとか、趣味とか。



そんなことを話しているうちに部長は気まずそうに私に言った。



「いろいろ順番、間違えてるよな…俺。」



彼は彼なりに気にしてるんだって初めて思った。




「別にいいんじゃないですか…?あの事がなかったら私もあそこまで思いきったこと言えなかったですし。それはそれでいいんじゃないですか?」



私はそう声をかける。




私だって気にしてることくらいたくさんある。




それに、部長との関係はいろいろと問題が山積みだ。




けれどそれでも立ち向かっていこうって決めたからあそこまで踏みきれたんじゃないかと思う。




私は確かに好きだと自覚したことは遅かった。



けれど彼を好きな気持ちは変わらないはずだ。



だから、今日も1日頑張れる。
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