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兄に恋したはずなのに

第5章 見知らぬ影


綺麗なドレスを着た母の姿は
まるでどこかのお嬢様で、
気品に溢れていた。


「ねぇ、お母さん。説明してよ。」



「あのね…、」



母は私に説明してくれた。

母は鳴海グループ社長の
令嬢で、後継であること。

うちの家系は女が跡を継ぐ
決まりがあること。

父と恋をして家を出たこと。


全てを話してくれた。


「つまり、私が後継ってこと?」


「そういうこと。」


「そんな突然言われても。」


「まあ、そうよね。」



お兄ちゃんはこのことを
知っているのだろうか。

なんでお兄ちゃんは
学校で教育実習なんてやってるの?

謎は深まるばかりだった。


「……考えさせて。」


小さくそう告げて、
私は元いた部屋に閉じこもった。
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