rain of teardrop【黒バス/ジャバ】
第34章 wrong step on the stairs8
「っ……、私シャワー…行くね……、――……」
「名無し?!……、チッ……掛けてくんなよ雑魚が……――」
頭のなかがぐらぐらと揺れる。
未来は進めない。
過去にも戻れない。
機の偶然でちょうどシルバーの携帯が着信音を響かせたと同時に、名無しは逃げるように浴室へと向かった。
向き合うと決めたのに、それすら最後まで出来なかった。
彼とまともに話せなかった自分の、心の弱さが原因に決まっていた。
「――……」
自分の所為でチームに合流できなかった……それが今更申し訳なく思えて仕方ない。
こういう女にだけは絶対なりたくなかったけれど、当事者になって気付けただけまだマシなのだろうか。
相談できる人間もおらず、浴室でシャワーに手を伸ばした名無しは、今度はまた別の気持ちが頭の中を占め、一人苦しんだ。
結局どうしたいか、どうなりたいか。
自分の、いちばんに望むものは――。