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rain of teardrop【黒バス/ジャバ】

第34章 wrong step on the stairs8



「……冗談だよ…気持ちよさそうにスヤスヤしてたな」

「っ…う……」

「んで?どうしたよ……名無し?」


いくつもの葛藤を重ね、胸の中にある想いはまるでつぎはぎだらけのよう……。

本当の気持ちが分からなくなりそうで、名無しは自分を見失わないことに胸中必死だった。

その上でふと、数少ない、シルバーと向き合うという意味で会話を試みようとする。
ゆっくりと喉を鳴らすそれは彼女にとって、自分と向き合うようなものだ。

まともに話をしてみようと思った上では、加湿器の品のある機械音が唯一の救いに感じられた。


「……あー…髪、クセがついちまってるな……出る前にまた軽くシャワー浴びるか……飯でも行こうぜ。あがったら乾かしてやる…準備しろよ」

「、……今朝は…っ、……その」

「?どうした」

「……取り乱して…私、えっと……」

「?!ハハ……なんだおまえ、取り乱してたのかよ…っ。そうは見えなかったけどな?」

「っ……呼び止めたのは…私だし……!わ……」


名無しが起きた時、隣に居たシルバーは既に目を開けており、自身の携帯に意識を集中させていた。
片手での操作も難はない様子で、当然、もう片方の腕は名無しの枕として成り立っている。

画面を覗き見る趣味もなかったし、彼の目に映る情報が、異性関係のものとも今はあまり思えなかったのは、多分性欲だけは満たされていたからだろう。
そういう現金な自分自身を、名無しは好きになれなかった。

実際シルバーは電源を切っていたのだし、おおかた、チームの連中から山のように連絡が来ていたのだと思うのもまあ自然の流れではある。


「、………」


名無しはこのとき、シンプルにシルバーが心配になっていた。

形成された人格、卑劣な人間であることを抜きにしても、彼はやはりチームの要でもあると思っていたからだ。



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