第15章 同じクラス、隣の席
「お腹すいたー!ねえ、怜ちゃん、何か食べて帰ろうよ!」
「遠慮します。今食べたら晩御飯が食べられなくなってしまいますから。というか渚君、ここに来る前にも肉まんみっつ食べてましたよね?」
「そんなの練習で消費しちゃったよー!!」
鮫柄での合同練習の後、着替えも終えた私達は、外に出て少し話をしているところだった。渚先輩と怜先輩のやり取りを、私と江先輩はクスクス笑いながら眺めていた。
「あれ?宗介くん?」
「おう、お疲れ」
江先輩の声に振り返ると、そこに宗介さんがいた。さっき挨拶してわかれてきたばかりなのに、どうしたんだろう?
「あ、宗ちゃん!」
「お疲れ様です」
宗介さんは、渚先輩と怜先輩の姿を確認すると、何か言いたそうな、でも言いづらそうな視線を私に向けてきた。
「宗介さん?どうかしましたか?」
「あ・・・いや・・・お前のこと、その・・・送ってってやろうかと思って・・・」
「へ?ああ!今日は大丈夫ですよ。先輩達も一緒ですし・・・」
ぼそぼそと途切れ途切れに宗介さんが言う。
気持ちはとてもありがたいけど、先輩達も途中まで一緒だし平気なのに・・・なんて思っていたら、
「ヒカリちゃん。宗介くんはヒカリちゃんと一緒にいたいんだって!」
江先輩が私の耳元でそう言った。
「ばっ!おいやめろ、江・・・チッ」
宗介さんは照れくさそうに舌打ちをすると横を向いてしまった。
「あ、ああ・・・そ、そういうことだったんですね・・・」
少し遅れて私も恥ずかしさがこみ上げてきた。
「そういうことなら、僕達はもう帰るね!邪魔しちゃ悪いし!」
「ええ、お先に失礼します!」
「宗介くん、ヒカリちゃんのことお願いね!」
「え?!あ、あの、ちょっと待って下さ・・・・・・」
私の言葉はまったく耳に入ってないみたいで、先輩達は背中を向けると歩いて行ってしまった。