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いちご☆恋模様 PART2

第4章 ジンベエザメの試練 ふたたび


「いや、なんでだよ・・・」

ヒカリの家で、リビングのソファーに座りながら俺は一人呟いた。

きっかけはヒカリを家まで送ってきた時の会話だった。
ちょっと前の映画で観たいやつがあると俺がタイトルを言ったら、それなら家にDVDがあるから観ていけばいいとヒカリが言い出した。
だが、俺もこの前のことを忘れたわけじゃない。勝手に邪魔してばかりじゃ家の人に悪いからと断ると、ヒカリは別に構わない、それに昨日作りすぎたカップケーキがあるから食べていってほしいと言う。それでも尚俺が断ると、ヒカリはまるで叱られた犬みたいにしゅんと悲しそうな顔をした・・・・・・


・・・・・・まあそんなわけで今に至る・・・・・・じゃねえよ。情に流されすぎだろ、俺は。

多分、他の奴なら断れる。だけど、ヒカリだと断れない。なんでか、って言われたらそりゃまあ・・・惚れてるからなんだろうが・・・でもこの状況は相手がヒカリだからこそやばい。


まあでも・・・と思い直す。この前みたいにヒカリの部屋ってわけでもないし、大丈夫かとも思う。リビングならヒカリの部屋みたいに甘ったるい香りもしないし、ヒカリの両親の私物が置いてあったりするから、妙な気分にもならないだろう・・・余程のことがない限りは。




「宗介さん、お待たせしました」

ヒカリがトレーを持ってやってきた。何も考えてないような顔して・・・いや、『ような』じゃなくって、こいつは本当に何も考えていない。


「すいません時間かかっちゃって。炊飯器セットして、お味噌汁の具だけ切ってました」
「親遅いんだよな・・・お前、料理できんの?」
「まあ一通りは・・・あはは、お腹すかせて待ってるよりも、自分で作っちゃった方がいいってことに気付いて、5年生ぐらいから始めたんですよ」
「へえ・・・それなら・・・・・・」
「それなら?」

・・・バカか、俺は。『それならお前、いい嫁さんになれるな』なんて、色んな意味で変な空気になるとこだったろうが。

「いや・・・なんでもねえ」

ヒカリから視線をそらして、少し強引にこの会話を終わらせた。
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