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そんな目で、見ないで

第4章 許して○○


スカイプの音が鳴る。
また風呂上がりだというのに、最近の私の友人たちは私のお風呂あがりに電話をするのが好きなのか。
私はパソコンを起動させてスカイプに応答すると大画面に金髪の美女が映し出された。

『ハァイ、ハル〜〜』

カランカランと氷がグラスにあたるいい音がする。蕩けた金色の液体はきっとウイスキーだろう。
赤い唇にグラスの縁をあててウイスキーをぐっと流し込む。ぼんやりと後ろの彼女の部屋の扉には2人の黒スーツの用心棒が立っている。
黒のスパンコールのタンクトップからちらりとのぞく豊満な胸を持て余した服装に私はすでに慣れきっていた。

「こんばんは、ルカ。こんな時間になんです?」

『見つけたわよお、例のオンナノコ』

ルカが画面越しに写真を見せてくる。ルカの黒のネイルを施された指に挟まれている写真には巻かれている髪に派手な服装をしているが、どこからどう見ても霧島さんが写っていた。
私は腹の底から苛立ちが込み上げてきた。
どうしてまた繰り返すのか、自分の思い通りにならないとは思っていたがここまでとは思っていなかった。

『この子、悪い子ねえ…ホテル代全部男持ちよ。あたしならいくらか置いて帰るわよん』

「…報告ありがとうございます。褒美は後日適当に送りますので、部下にお渡しください」

『ねえ、ハル。あたし分かるのよ。ハルはこの子のこと好きなのね』

カラン、
苛立ちが氷の音とともに消え、うふっと笑う声が聞こえた。

『きっと何か彼女にも理由があるのよ、彼女の話にも耳を傾けてあげたら?』

タバコを咥え始めるとふうっと息を吐き出してルカが映っている画面がボヤける。

『まだハルのものじゃないのだし、今の彼女に何を怒っても無駄だわ』

ルカの言葉が心に刺さった。

『ほら、ハルは独占欲強いから、気を付けなさいよ』

「…やはりルカには敵いませんね」

私はすっかり負けた気分になってしまった。
濡れた髪をタオルで拭いて苦笑いを浮かべる。
画面越しにルカもうふふと笑い、タバコを灰皿にこすりつけた。

「またなにかあったらお願いします」

『うふふ、頑張ってね』

右手の指を二本くいくいっと手招きするように曲げて、ルカはスカイプを切った。

「好き…ねえ…」

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