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そんな目で、見ないで

第2章 見つけないで○○


最寄りの1つ後の駅、河本駅はとても大きな駅だ。いくつもある中央改札を出て、エスカレーターに乗っていると綺麗な光のビルやショッピングモールが目に飛び込んでくる。
私は夜の街を見るのが少しだけ好きだ。ひっそりとした暗闇の夜空を彩る色んないろの光に自分の存在がちっぽけでどれだけこの世界にそぐわないかよく分かってしまう気がした。
今日も私は高校二年生であることを隠すかのようにして派手な格好をしていた。髪を巻いて
赤い口紅を塗って、アイラインを引き、まつげと眉毛を整えた。
もう1人の自分、夜の自分が私は大っ嫌いだ。
エスカレーターから降りるとヒールの音が高く鳴り響く。

「あっ、きたきた」

昨日見た中年と私は区別がつかないが、今話しかけてきたこいつは紛れもなく別の中年なのだ。
自分の娘と同じくらいの年齢の娘を抱きにくる風変わりなやつはどこにでも転がっているものである。
私はわざとらしい笑みを顔にのり付けした。
21:31。
あたりを歩く人はちらほらいる程度だった。
私の瞳の奥で白いフラッシュが光った気がした。
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