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そんな目で、見ないで

第2章 見つけないで○○


「今日は皆さんに紹介する先生がいます」

よく透き通る声で先生、と軽く声をかけると1番端っこの椅子に座っていた黒髪の先生が立ち上がる。
すらりと伸びた身長に長い手足、口元に浮かんだ笑みとすっと細められた目元にはっきりとした顔立ちは私が今まで生きてきた中でかなり美しい顔をしている。
神様が一生懸命彫ったのだろうか、と思えるくらい美しい端正な作りで中性的だ。
しかし私は先生を確かに男だと断言出来る。少し広い肩幅に一般の男性よりも細い体型なのにがっしりして見える。スーツがとてもよく似合っており、スーツはあの人のために作られたんじゃないのかと思うほどである。
マイクの前に立ち、まっすぐ顔をあげた先生は横顔よりもよりいっそうに美しく感じた。
何とも言えない妖艶なオーラに女子生徒たちはたちまち目を奪われる。
私もその1人だ。

「みなさん、おはようございます」

どこか切ない吐息が含まれた声にうっとりしてしまう。
本能が彼を求めているような気がしたが私はそんな訳ないと言い聞かせた。

「今日からここに数学教師として勤めることになりました、綾瀬遥和(あやせ はるかず)と申します。きっと数学が苦手な方はたくさんいると思いますが、いつでも質問にきてください。これから頑張っていきたいと思います」

先生がお辞儀してマイクの前から立ち去っている間、ずっと拍手はなりやまなかった。
入れ替わりでやってきた愛子が終わりの言葉を言うと講堂に集まっていた生徒たちはめいめいに喋り出し、各自の教室へと戻っていった。
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